医療法人山桃 矢山クリニック

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舩井幸雄先生の思い出8

2017/06/09/(金)

 舩井先生は、長所を伸ばしなさいとよく言われました。


 長所とは、伸びているもの、得意なもの、自信のあるもの、好きなことの中にあるので、それを見つけてそれが伸びるようにすると「ツキ」がやってくると言われていました。「それでは、長所が見つからない時はどうしたらよいですか」と質問すると、「その時は、目の前にある対象を人の3倍努力してやりなさい」と言われました。そして「3倍やれば、3倍速く自分の長所が見つかるよ」とも言われました。その計算の根拠はよくわかりませんが、そんなものかと納得しました。それで若い人が迷っているときは、「目の前の仕事を人の3倍努力してやれば、3倍速く自分の本当にやりたいことが見つかるよ」というアドバイスに使わせてもらっています。


 また、これは舩井先生が著書にお書きになっていないと思われる別の方向のアドバイスもあります。ある時私が気や気功のことをあまり熱心に話すので、アブナイと思われたのでしょう。「矢山さんは気の研究は自分の能力や時間の3割以内でやった方がよいよ。3割でも、3年すれば10割に達するからね」と言われました。医師の仕事は朝から晩まえほとんど働き詰めで、3割も気の研究に使う時間は物理的に無理なのです。それで「病院の仕事が終わってから時間を見つけてやっています」と答えて安心してもらいました。


 精神世界に興味のある若い人が増えています。そんな人たちの悩みの根本は、物的な価値を追い求めるような仕事は自分の本当にしたいことではないようだ、やるべき事ではないだろうという考え方があるようです。このような方々に舩井流のアドバイスが役に立つのではないでしょうか。

 

 次に医学医療における「長所伸展」とは何でしょう。医学は体のよくない部分をできるだけ早く見つけ、それを抑制する、取り除く作業を主目的にしています。これは舩井流でいうと「欠点是正」「短所指摘」というやってはいけない手法になります。人間における「長所伸展」とは何でしょうか。それは、自然治癒力、具体的には生体の防御を行っている免疫機能のことでしょう。しかし、この大切な自然治癒力という概念は西洋医学の中で講義されることはありません(そんな医学教育を行っている医学部があるなら教えてください)免疫学は重要な学問で研究レベルではかなり詳しい情報が明らかとなっていますが、この人間の長所ともいえる免疫学を臨床の場で使うことがほとんどできていないのです。これは自分の兵隊がどう働いているのかを知らないで戦争をしているようなものなのです。「敵を知り己を知れば百戦あやうからず」とは孫子の兵法ですが、「的も知らず、己も知らずば、百戦あやうし」と言わなければなりません。バイオレゾナンス医学はこの状況を大改善することができたのです。